リストカット

　　リストカット

　私は怯えているの・・・

　でも何に怯えているのだろう

　みんなは悲しみの向こうに何があると思っているの

　そこは何も見えないほど希望に満たされたものなの

　私には分からない　

　深くかかわりたくない

　そして　私をそっとしておいて

　わかったよ　そっとしておくよ
　でも　いつか君にも分かる時が来るよ　
　だから　さようならを言うよ
　君の魂が　いつか癒されるように
　それを願いながら生きていくよ

　・・・さようなら
　


　ふっと目が覚めた


　いつもと同じ一日　

　いつもと同じ夢

　いつもと同じ暗い静寂に包まれた部屋

　いつもと同じ場所　

　その場所で何かが月の光に照らされて　
　ぼんやりと　ゆれている
　いつも何がゆれているのだろうと感じていた

　
　私の腕には無数の傷がある　

　私は　この痛みを感じた時だけ　私に戻れることを知っている

　そして　そこには扉があるの　私が見つけた扉

　私は　この扉を開けるのが好き

　痛っ　痛い　　それは　すごく痛いの　
　全身にすごい何かが込み上げて
　すごく痛くなる

　でも　いいの　すぐ　腕から零れ落ちる赤い血のように
　私の心から　何かがスーっと消えていくの

　そして　願うことも　怯えることもなく　
　ただ　体の力がそっと抜けていくのを感じるの

　それは白くて　安らかな　淡い瞬間


　
　いつものように目が覚める　

　・・・・また同じ一日？

　また　何かが月の光に照らされ　ぼんやりと　ゆれている



　心には扉がある　

　ノックしてもそこから出てきてくれない

　どうしれば　出てきてくれるのだろう・・・・
　
　LSD（幻覚剤）などの治療は　記憶　意識などを
　リセットする又は違う意識に興味を持たせ
　新しい記憶を上書き出来るかもしれない

　でも　それは必要なことなのか・・・・

　これから簡単に記憶を書き換えられる時代が医療の発展により来るだろう
　その時いままで出会った　良いこと悪いことの本当の意味を理解するだろう

　
　暗い　暗い　夜に怯えながら　
　遠い星を見ている

　でも　迷いながらも僕達は歩き続けなくてはいけない

　そして必ず君に会いに行く

　君もいつかは　分かる時がくるよ
　だから　君もさようならを言おう

　君の中にある　暖かくて　素敵なものを信じながら
　少しずつ　きれいな君になっていくように