野生児6 ゴリラのココ
野生児6 ゴリラのココ
ぽかぽかと綿あめを作るように白い雲が青い空を飾る
いつもどおりに暑い夏を届けてくれる鮮やかな季節
青々と茂る草の中からウサギがこちらを見ている
大きな船の先端のような岬で僕はウサギのかわいらしさにはしゃいでいる
ほほに当たる風 なびく髪
それをそっとかき上げるママ
ママが僕の前にしゃがみ僕の顔を見てニコリと笑う
その横でパパが僕に あそこに大きな船が見えるぞっと言った
ママの手が僕のほほをなで 優しいママの目を見たとき
・・・・パパが岬から身を投げた
僕はそれに気づかなかった
・・・・パパがいない
そう思った僕をママが強く抱きしめる
ママの香りを感じたときママも身を投げた
青い空が逆さまに見える
暑い夏が僕の体を通り抜けていく
僕達は岩にぶつかり跳ね飛ばされ つないだ手はほどけ
スローモーションの様に僕から離れていくママを見ながら
僕は海の中へ落ちた
まったく僕の体は動かず
ぷかぷかと浮きながら ただ空を見ていた
ココとはメスのローランドゴリラ(本名ハナビコ 1971,7,4)
手話を使い人間との会話に成功したゴリラである
2012年現在 手話は2000語以上
生後3ヶ月で病気にかかっている時に
発達心理学フランシーヌ・パターソンと出会い手話を覚える
ココには友達がいる 子猫のボール
そのボールが死んだとき
ココは その死を悲しむ
そして手話で Comfortable hole bye
苦労のない 穴に さようなら と手話で表現した
これは生物に意識がある可能性を示した一つの事例かもしれない
死を認識してるのなら死を利用する可能性もある
長年 なぜ大量絶滅したなどの解明されていない部分に
動物の自殺も含まれていくかもしれない
ただ自殺の定義はあやふやである
例で努力で町を大きくし家族や自分のために働き続け国を大きくし
世界の自然破壊 格差 戦争などを生み滅びていく
例でリストラされる又はリストラされない 二つの状況でも
結果は やはり自殺になるのか
この条件の中で本人が自殺を選んだのか
選ばされたのか
自殺とは人が作った芸術品
すべては物理で相対的に物事は進み
利益を得ると同時に何かを消費していく
すべてのものは何かに依存し
依存したものに追い詰められ死に至る
自然界には死はごく自然なことで 自然界では自殺はない
人とは努力 勉強 愛などを育て自殺という もう一つの世界を作った功労者
ココに手話を教えるということは 自殺の可能性を与えるものかもしれない