ぴぴ１

　　ぴぴ１
　
　照り返した台地が少し冷えてきた頃
　地平線の向こうに燃えるような夕日が沈んでいく

　私の足元にまで影が伸び　暗闇があたりを包む時
　ぴぴが耳を立てた　

　・・・・何か感じているのだろうか

　暴虐な時間　

　何も見えない深い暗闇

　この先に想像を絶する残酷があると　たやすく理解出来るであろう
　体の奥底から湧いてくる恐怖と記憶　

　暗闇の中に存在するであろう者

　動物が霊を感知する話は聞いた事があるが　それは本当だろうか・・・・

　
　何かを見つめる　ぴぴ

　私）霊はいるのか　ぴぴ

　ぴぴ）・・・・

　ぴぴ）霊を考えた時点で霊は存在しなくては行けない

　　　　すべては相対的で　森にある一本の木から枝分かれする枝の様に
　　　　世界を包み込む世界
　
　それを　ぴぴがふんぞり返って語っている

　・・・・奥が深い　

　私）では　ぴぴが話す世界って何？

　ぴぴ）・・・・

　ぴぴ）世界とは夢の中でニンジンをムシャムシャ食べる事

　私）カキーン　頭の中に響き渡る音　
　　　何を言っているのか
　　　まったく解らない

　私）では　ぴぴ　夢とは何？

　ぴぴ）・・・・

　ぴぴ）夢とは　たった一つの希望　色あせる事のない種
　　　　絶対に変える事の出来ない僕自身

　ぴぴ）私の世界は残酷だ　
　　　　上も下も右も左もない　ただ夢を見るだけだ

　　　　私の先祖は遠い昔　海の中に生まれた　

　　　　そして　小さい小さい思いを胸にひめ　それは次第に大きくなり
　　　　海から陸へ渡ろうとした　その結果　何かと出会って行く

　　　　私の先祖達(革命的な夢を見る者達）は　
　　　　苦渋の思いを胸に　ただあるであろう夢に賭け
　　　　幾度もの困難を乗り越え海から陸に渡り　この美しい世界を作った

　　　　私達は　先祖達が作った夢見る卵だ

　　　　そして　僕はニンジンを見つけた

　　　　物理的でも夢でも嘘でも良い　ニンジンさえあれば
　　　　それが私の尊い大事な革命的な世界なのだ

　私）カキーン　頭に響き渡る音　まったく何を言っているのか解らない

　私）なーんて　ぴぴを見ながら考えてみたりした