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        手紙

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 恐怖を検索する者に死を与える物 

 なぜ 壮絶な事故現場なのに野次馬は集まるのか
 なぜ 戦争をするのか
 なぜ 強い人がいるのか

 風のように吹きすさむのではなく
 地に根を張る ひまわりの様にあってほしい

 看護婦の下に一通の手紙が届く
 差出人は ここの元患者

 麻薬中毒だった患者

 症状は重く
 言葉を はなさないトイレも使わない食事もしない

 もうすぐ 死ぬかもしれない

 患者 看護婦の出会いは二年前になる

 食いつかんばかりの鋭い目

 看護婦は けして患者から目を離さない
 それが 大事だと思った

 投げやりな態度 ちょっと刺激をすると たちまち豹変する
 典型的なパターン
 心のよりどころは たぶん 左耳のピアスだろう
 どうやって切り出すか悩む

 手紙には
 麻薬を始めたのは ただの好奇心

 麻薬に興味を持ったのは
 恐怖を知ったとき

 恐怖を私が見ているとき 
 恐怖も私を見ている その関係がどこか懐かしく
 心地が良い

 誘われるように闇の中へ

 私を見ている物を捜す

 闇の中で私を見つめる物は
 もうすぐ君は死ぬだろうと言っていた

 ・・・・

 それが どこか心地よく思えた
 だからなのか私は それを受け入れる事に決めてしまった

 人は あるポイントから死を美化するようになる
 だから 体が健康でも死は近づいてくる
 そして 後ろめたい気力は健康な体を破壊して行く
 気力を失った疲れた人間は とてももろくなる



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