いもむし

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  いも虫

 霊が何なのか・・・・
 それを考えたのは偶然じゃなかった

 それは高校の頃 
 偶然 部屋でいも虫を見つけた事が始まりだった
 その時 幼い私は 近くにあったライターで遊ぶように 
 いも虫を火あぶりにして殺した

 その夜 
 
 寝ていると顔の上に何かが落ちてきた
 それは火あぶりにした いも虫だった

 その時 想像した 

 同じ芋虫が部屋に二匹いて
 二匹はつがいで もう一匹のいもむしが
 火あぶりにした いも虫の敵を討ちに来た

 いも虫が何年も住んでいる部屋に入ってきたのは
 この一回だけだった事

 部屋は二階だった事

 顔の上に落ちてきた事

 暗い中で落ちてきた物を捜して 手で触れた時の
 いも虫の柔らかい感触にドッキっとした事

 火あぶりにした事

 色んな事が頭を駆け巡り
 無知で残酷で幼い自分を想像した

 ただの偶然で片付けられる この出来事は
 私に生命の強さと自分の行動の浅さを考えさせた
 その時から 私の中に偶然という言葉は存在しなくなり
 存在の意味 存在の形 存在の責任を考えるようになった


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Category: 始まり

廊下

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           廊下

 rouka2.jpg

 私はどんなときも 目を背けられなかった

 看護婦が廊下を歩いていると 
 長い廊下の その先に患者がいた

 廊下の真ん中に立ち こちらを見ている

 ・・・・

 少し様子がおかしい

 ・・・・怖い
 
 ささいな予感の様なものに体が反応した

 精神科は事故も起こる やさしい場所ではない 
 ただ 今回は違う

 ・・・・なぜか 怖い 

 その理由を限られた時間で探す


 いつも使う廊下も 暗く 冷たい
 いやな予感が立ち込める

 患者との 距離は結構ある・・・・
 でも患者の顔が ここから よく見える

 ・・・・やはり何かおかしい

 冷静になれと心に念じる
 そして もっと慎重に患者を見る

 いつもとは違う何かがないかを探す 

 張り詰める空気

 危険があるかもしれないと思い
 距離を慎重にとりつつ
 患者にギリギリまで近づく 

 ・・・・まったく動く気配がない

 慎重に足を運び 患者に出来るだけストレスを与えない

 2mのところまで近づいても患者は動かない
 声をかけても反応はない

 ただ漠然と立ち尽くしている患者

 ・・・・

 ~さん どうしましたか

 私は ぎりぎりまで近づき患者の肩に触れようとした

 その時 ふっと患者が消えた

 ・・・・

 すぐ その患者の病室へ向かう
 やはり その患者は

 死んでいた
 
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Category: 廊下

エンゼルセット

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    エンゼルセット
 
 エンゼルセットとは 死後処置セット
 死者のケアは 二人一組で行うのがマニュアルだ

 今日は怖い・・・・と看護婦がつぶやいた

 今日 ケアをするのは先天性の奇形
 成長するほどに変形していく様を目の前で見続ける本人
 この患者は凶暴であった

 言葉を喋れたのは中学までである
 なぜ 喋らなくなったかは不明
 地方の施設に入り のち うちの病院に来る

 ここへ来たとき 患者の目は怯えていた
 看護婦も それを理解し慎重に やさしく 
 接する事が仕事と思っていた

 変形する肉体 脳 精神 患者の人生は短いだろう

 患者も それを知っていたのだろう
 ある日 看護婦に 掴み掛かり 押し倒し
 馬乗りになり 言葉にならない声で叫んだ

 断末魔のような叫びの中 
 看護婦は患者の顔を見ていた

 私に何が出来るのだろう 患者は何を伝えたいのだろう
 それとも 何か別な事

 目をそらすな

 患者の心理 行動を深く追求する

 だが何も わかる事はなかった 

 患者は周りにいた職員に取り押さえられ
 荒い息でこちらを見ている

 ・・・・何が原因だったのか 
 
 とまどう心

 もっと 注意深く見ていればヒントは あったのかもしれない

 ・・・・くやしい

 だが それを知る由もなく しばらくして患者は死んでしまった

 ある日 看護婦は夢を見た

 この患者が 看護婦の枕元に立ち
 何かを叫んでいた

 声に ならない声に動揺した

 何を 言っているのだろう

 ・・・・あの時を思い出す

 最終的には何を言っていたのか自信はないけど

 看護婦はその時 たぶん 
 その言葉は
 ありがとう・・・・と言っていたと思うと言っていた
    
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手紙

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        手紙

 dark9.jpg
 

 恐怖を検索する者に死を与える物 

 なぜ 壮絶な事故現場なのに野次馬は集まるのか
 なぜ 戦争をするのか
 なぜ 強い人がいるのか

 風のように吹きすさむのではなく
 地に根を張る ひまわりの様にあってほしい

 看護婦の下に一通の手紙が届く
 差出人は ここの元患者

 麻薬中毒だった患者

 症状は重く
 言葉を はなさないトイレも使わない食事もしない

 もうすぐ 死ぬかもしれない

 患者 看護婦の出会いは二年前になる

 食いつかんばかりの鋭い目

 看護婦は けして患者から目を離さない
 それが 大事だと思った

 投げやりな態度 ちょっと刺激をすると たちまち豹変する
 典型的なパターン
 心のよりどころは たぶん 左耳のピアスだろう
 どうやって切り出すか悩む

 手紙には
 麻薬を始めたのは ただの好奇心

 麻薬に興味を持ったのは
 恐怖を知ったとき

 恐怖を私が見ているとき 
 恐怖も私を見ている その関係がどこか懐かしく
 心地が良い

 誘われるように闇の中へ

 私を見ている物を捜す

 闇の中で私を見つめる物は
 もうすぐ君は死ぬだろうと言っていた

 ・・・・

 それが どこか心地よく思えた
 だからなのか私は それを受け入れる事に決めてしまった

 人は あるポイントから死を美化するようになる
 だから 体が健康でも死は近づいてくる
 そして 後ろめたい気力は健康な体を破壊して行く
 気力を失った疲れた人間は とてももろくなる



Category: 手紙

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  車

 ふっと 横のクルマを見ると
 後ろの座席から 運転手の首を
 閉めてる人を見つけた 

 気持ちが悪い

 その時

 そのクルマが 事故を起こした

 駆け寄る 看護婦

 だが そのクルマには 一人しか乗っていなかった
 おかしい 確かに後ろに人がいたはず

 ・・・・

 首を絞める姿は 異様で目が離せなかった
 それを思い出し恐怖を感じた

 首を絞めている男は あの時しきりに何かを叫んでいた

 ・・・・何を叫んでいたのだろう

 この看護婦は 他にも不思議な体験をしている

 患者のケアをしているとき ふっと 横を見ると
 真っ黒な人影が立っていた
 驚きのあまり 数秒その影を見つめる

 ・・・・

 まったく動かない影は ぼやけるわけでもなく
 透けているわけでもない 

 紙を切り抜いたような容姿と存在に疑問を持ち
 看護婦は その影に触れようとした 

 その時

 その手をケアしている患者が掴んだ

 ハッとなり もう一度 影を見るといなかった

 Dark hospital room

Category:
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